- Adobe Premiere Elements ユーザーガイド
- Adobe Premiere Elements の概要
- ワークスペースとワークフロー
- プロジェクトの操作
- メディアの読み込みと追加
- クリップの並べ替え
- クリップの編集
- カラー補正とグレーディング
- トランジションの適用
- 特殊効果の基礎
- スペシャルエフェクトの適用
- パンとズームを使用したビデオのようなエフェクトの作成
- 透明化とスーパーインポーズ
- モーションエフェクトを使用したクリップの配置、スケール(拡大や縮小)および回転
- ビデオへのエフェクトマスキングの適用
- 色温度と色合いの調整
- 窓ガラス効果を作成 - ガイド付き編集
- ピクチャインピクチャオーバーレイの作成
- 調整レイヤーを使用したエフェクトの適用
- ムービーへのタイトルの追加
- かすみの除去
- ピクチャインピクチャの作成 - ガイド付き編集
- 周辺光量補正エフェクトの作成
- 明暗別色補正エフェクトの追加
- フィルムルックエフェクトの追加
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- フレームを埋める - ガイド付き編集
- タイムラプスの作成 - ガイド付き編集
- アニメーション化された空 - ガイド付き編集
- 被写体の選択
- アニメーションマット - ガイド付き編集
- 二重露光 - ガイド付き編集
- 特殊オーディオ効果
- ムービータイトル
- ディスクメニュー
- ムービーの共有と書き出し
縦横比について
縦横比は、幅と高さの比率を示したものです。また、ビデオフレームの縦横比(フレーム縦横比)と同様に、フレームを構成するピクセルにも縦横比があります(ピクセル縦横比)。ビデオカメラによっては、様々なフレーム縦横比で録画することができます。また、NTSC 規格および PAL ビデオ規格では、使用しているピクセル縦横比が異なります。真円の画像が楕円形に表示される場合は、画像の縦横比とプロジェクトの縦横比が一致してない可能性があります。
Premiere Elements では、このような変形が発生しないように、ソースクリップのピクセル縦横比が自動的に検出されて調整されます。Premiere Elements でクリップが変形して表示される場合は、ピクセル縦横比を手動で変更できます。フレーム縦横比を調整する前に、ピクセル縦横比を調整することが重要です。ソースクリップの縦横比の変換を誤ると、間違ったフレーム縦横比になります。
フレーム縦横比
フレーム縦横比は、画像サイズの幅と高さの比率を示したものです。例えば、DV NTSC のフレーム縦横比は 4:3(幅 4.0 x 高さ 3.0)です。これに対して、一般的なワイドスクリーンフレームの縦横比は 16:9 です。ワイドスクリーンモードのあるビデオカメラは、この縦横比を使用して録画することができます。映画では、多くの場合、さらに幅が広い縦横比を使用して撮影されます。
クリップをフレーム縦横比が異なるプロジェクトに追加する場合は、縦横比の調整方法を指定します。フレーム縦横比が 4:3 の標準的なテレビで、フレーム縦横比が 16:9 のワイドスクリーンムービーを表示するには、2 つの方法があります。第 1 の方法では、レターボックスと呼ばれるテクニックを使用して、16:9 のフレームの幅全体を 4:3 のブラックフレームに合わせます。この方法では、ワイドスクリーンフレームの上下に黒い帯が表示されます。
第 2 の方法では、パン&スキャンと呼ばれるテクニックを使用して、16:9 のフレームの選択した範囲のみを 4:3 のフレーム全体に表示します。この方法では、黒い帯は表示されなくなりますが、ビデオの一部もカットされます。Premiere Elements では、4:3 の縦横比のプロジェクトに 16:9 のフッテージを追加すると、自動的にレターボックスで表示されます。
ピクセル縦横比
ピクセル縦横比は、フレームを構成する 1 ピクセルの幅と高さの比率を示したものです。フレームを構成するピクセル数はビデオシステムによって異なるので、様々なピクセル縦横比が発生します。例えば、コンピューターにおける多くのテレビ方式では、4:3 の縦横比を持つフレームを 640 x 480 ピクセルとして定義しています。1:1 の縦横比を持つ正方形のピクセルは、そのフレームで定義されている横方向のスペースと縦方向のスペースをすき間なく埋め尽くします。しかし、DV NTSC(米国内の DV ビデオカメラの規格)などのビデオ規格では、4:3 の縦横比のフレームを 720 x 480 ピクセルとして定義しています。このため、この数のピクセルでフレームを埋め尽くすには、ピクセルの幅を正方形ピクセルより狭くする必要があります。この幅の狭いピクセルを長方形ピクセルと言います。縦横比が 0.9:1 なので、0.9 と呼ばれる場合もあります。常に長方形になる DV ピクセルは、NTSC ビデオを製作するシステムでは縦方向に配置され、PAL ビデオを製作するシステムでは横方向に配置されます。Premiere Elements では、プロジェクトのアセットパネルに表示されるクリップの画像サムネールの横に、クリップのピクセル縦横比が表示されます。
正方形ピクセルを使用しているモニターに長方形ピクセルを表示すると、画像が変形します。例えば、円が楕円のように表示されます。ただし、放送用モニターでは長方形ピクセルを使用しているので、この画像は正しい比率で表示されます。Premiere Elements では、様々なピクセル縦横比のクリップを変形させずに書き出すことができます。プロジェクトのピクセル縦横比が、クリップのピクセル縦横比に合わせて自動的に調整されます。Premiere Elements でピクセル縦横比を誤って変換すると、クリップが変形する場合があります。このような場合は、ソースクリップのピクセル縦横比を指定して、手動で変形を修正することができます。
A. 正方形ピクセルの 4:3 フレーム縦横比 B. 非正方形ピクセルの 4:3 フレーム縦横比 C. 非正方形ピクセルを正方形ピクセルのモニターで表示したために発生した変形
様々な縦横比のキャプチャと追加
Premiere Elements では、ピクセル縦横比が自動的に調整され、追加された画像のフレームサイズが保持されます。画像を追加すると、次のように処理されます。
720 x 486 の D1 解像度または 720 x 480 の DV 解像度のビデオを追加します。Premiere Elements によって、ビデオのピクセル縦横比が自動的に D1/DV NTSC(0.9)に設定されます。720 x 576 の D1 または DV 解像度のフッテージの場合、Premiere Elements によって、そのピクセル縦横比が自動的に D1/DV PAL(1.067)に設定されます。ただし、プロジェクトのアセットパネルまたはフッテージを変換ダイアログボックスで、すべてのファイルが正しく変換されていることを確認してください。
Premiere Elements は、Premiere Elements/Plug‑in フォルダー内の Interpretation Rules.txt ファイルを使用して、ピクセル縦横比をファイルに自動的に割り当てます。特定の種類の画像が常に誤って変換される(画像が変形する)場合は、Interpretation Rules.txt ファイル内のエントリを変更します。プロジェクト内に既にあるファイルのピクセル縦横比の変換を変更するには、「フッテージを変換」コマンドを使用します。
Premiere Elements•でクリップのサイズを変更する場合は、クリップを選択し、モーションエフェクトのスケールプロパティを変更します。モーションエフェクトは、エキスパートビュータイムラインでクリップを選択したときに、プロパティビューに表示されます。
プロジェクトの縦横比の表示
プロジェクトのピクセル縦横比は、プロジェクトを開いたときに選択したプリセットによって設定されます。縦横比を設定した後は変更できません。
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編集/プロジェクト設定/一般を選択します。
静止画またはソースクリップのピクセル縦横比の調整
プロジェクト内で縦横比の異なるフッテージを結合して、ソース画像を変形せずに出力を生成するには、すべてのファイルが正しく変換されるようにします。
ファイルのピクセル縦横比は、プロジェクトおよび最終出力の縦横比ではなく、オリジナルの縦横比に設定します。
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エキスパートビューで、「プロジェクトのアセット」をクリックします。
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静止画またはソースクリップを選択します。
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ファイル/フッテージを変換を選択します。
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「ピクセル縦横比」セクションで、「ファイルのピクセル縦横比を使用」を選択してファイルのオリジナルの縦横比を使用します。または、ピクセル縦横比を指定メニューから、次のいずれかを選択します。
正方形ピクセル
1.0 ピクセル縦横比を使用します。ソースクリップが 640 x 480 または 648 x 486 のフレームサイズを使用している場合に、この設定を使用します。また、正方形ピクセルのみをサポートしているアプリケーションからファイルを書き出した場合も、この設定を使用できます。
D1/DV NTSC
0.9 ピクセル縦横比を使用します。ソースクリップが 720 x 480 または 720 x 486 のフレームサイズを使用している場合に、この設定を使用します。この設定によって、クリップで 4:3 のフレーム縦横比を維持することができます。3D アニメーションアプリケーションなど、非正方形ピクセルで動作するアプリケーションから書き出したクリップの場合に、この設定を使用できます。
注意:D1 について詳しくは、Premiere Elements ヘルプの「用語集」を参照してください。
D1/DV NTSC ワイドスクリーン 16:9
1.2 ピクセル縦横比を使用します。ソースクリップが 720 x 480 または 720 x 486 のフレームサイズを使用している場合に、この設定を使用します。この設定によって、16:9 のフレーム縦横比を維持することができます。
D1/DV PAL
1.067 ピクセル縦横比を使用します。ソースクリップが 720 x 576 のフレームサイズを使用していて、4:3 のフレーム縦横比を保持する場合は、この設定を使用します。
D1/DV PAL ワイドスクリーン 16:9
1.422 ピクセル縦横比を使用します。ソースクリップが 720 x 576 のフレームサイズを使用していて、16:9 のフレーム縦横比を保持する場合は、この設定を使用します。
アナモルフィック 2:1
2.0 ピクセル縦横比を使用します。2:1 縦横比のフィルムフレームからアナモルフィック転送でソースクリップを書き出した場合に、この設定を使用します。
HD アナモルフィック 1080
1.333 ピクセル縦横比を使用します。
D1 または DV プロジェクトでの正方形ピクセルファイルの使用
DV プロジェクトで正方形ピクセルフッテージを使用すると、画像が変形しないように出力を生成できます。Premiere Elements では、プロジェクトのフレームサイズと一致しないファイルの解像度がアップサンプリング(拡大)またはダウンサンプリング(縮小)されます。ダウンサンプリングを行うと、画質が向上します。プロジェクトのフレームサイズより大きなサイズのファイルを作成し、Premiere Elements でファイルをアップサンプリングしたり拡大したりする必要がないようにします。
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次のいずれかの方法でファイルを準備し、Premiere Elements でファイルをキャプチャするか追加します。
DV(NTSC)で最終出力を行う場合は、ファイルを 720 x 540 のフレームサイズで作成して保存します。このフレームサイズで保存すると、アップサンプリングを防ぐことができます。また、640 x 480 のフレームサイズでファイルを作成して保存すると、フィールドレンダリングファイルでフィールド順などが壊れるのを防ぐことができます。
DV(PAL)で最終出力を行う場合は、ファイルを 768 x 576 のフレームサイズで作成して保存します。このフレームサイズで保存すると、アップサンプリングや、フィールドレンダリングファイルでフィールド順などが壊れることを防ぐことができます。
D1(NTSC)で最終出力を行う場合は、ファイルを 720 x 540 のフレームサイズで作成して保存します。
正方形ピクセルの画像のフレームサイズは、プロジェクトで使用されているフレームサイズ(720 x 480 など)に一致する場合があります。ただし、ピクセル縦横比が異なる場合は、異なるフレームサイズ(720 x 540 など)で画像をデザインし直します。デザインし直すことは、ファイルの準備に使用するアプリケーションが非正方形ピクセルをサポートしていない場合に必要です。
読み込んだインターレースビデオのフィールドオプションの設定
ほとんどのビデオ形式では、1 つのフレームは 2 つのフィールドから構成されています。一方のフィールドにはフレームの奇数番目の走査線、もう一方のフィールドには偶数番目の走査線が入っています。これらのフィールドがインターレースされて(組み合わされて)、完全なイメージが生成されます。Adobe Photoshop Elements には、奇数フィールドを先に使用するハードディスクやフラッシュメモリビデオカメラから読み込んだビデオで使用するためのフィールド順序の入れ替えプリセットが含まれています。奇数フィールドを先にして、ソースフッテージをキャプチャすることができます。このフッテージの場合は、プロジェクトが「Flash Memory Camcorders」プリセットフォルダーの標準またはワイドスクリーンプリセットのいずれかを使用していることを確認します。
通常、インターレースは目に見えませんが、被写体は時間をずらして各フィールドにキャプチャされます。このような時間差があるので、クリップをスローモーションで再生したり、フリーズフレームを作成したときに、2 つのフィールドの違いが目に見えるようになることがあります。フレームを静止画として書き出したときにも、同じ現象が見られます。この現象を防ぐには、画像のインターレースを解除します。インターレースを解除すると、一方のフィールドが破棄され、もう一方のフィールドの走査線が複製または補間されます。
優先フィールド、フィールドの録画順序、または表示順序を逆にした場合に、再生上の問題が発生することがあります。優先フィールドが逆になると、フィールドが順序どおりに表示されなくなるので、モーションがぎこちなく表示されることがあります。元のビデオテープの優先フィールドが、クリップのキャプチャに使用したビデオキャプチャカードの優先フィールドと逆になっている場合は、フィールドの順序が逆になります。元のビデオテープの優先フィールドと、ビデオ編集ソフトウェアの優先フィールドが互いに逆になっている場合も、フィールドの順序が逆になります。この現象は、インターレースクリップを逆再生するように設定した場合にも発生することがあります。
こうした現象を防ぐには、画像のインターレースを解除します。インターレースを解除すると、一方のフィールドが破棄され、もう一方のフィールドの走査線が複製または補間されます。インターレースクリップのフィールドオプションを設定して、特定の条件でクリップの画像とモーションの品質が維持されるようにすることもできます。このオプションには、クリップ速度の変更、フィルムストリップの書き出し、クリップの逆再生、ビデオフレームの保持などがあります。
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エキスパートビュータイムラインでクリップを選択し、クリップ/ビデオオプション/フィールドオプションを選択します。
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「優先フィールドの入れ替え」を選択して、クリップのフィールドが表示される順序を変更します。このオプションは、クリップとビデオ機器の優先フィールドが異なる場合、またはクリップを逆再生するときに使うと効果的です。
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次の処理オプションからいずれかを選択し、「OK」をクリックします。
なし
クリップのフィールド処理を行いません。
連続フレームのインターレース
ペアになった連続プログレッシブスキャンフレーム(非インターレース)をインターレースフィールドに変換します。アニメーションアプリケーションの多くはインターレースフレームを作成しないので、このオプションは、60 fps のプログレッシブスキャン方式アニメーションを 30 fps のインターレースビデオに変換する場合に効果的です。
常にインターレースを解除
インターレースフィールドをすべてプログレッシブスキャンフレームに変換します。Premiere Elements は、一方のフィールドを破棄し、もう一方のフィールドの走査線を基に新しいフィールドを補間して、インターレースを解除します。このとき、保持されるフィールドは、プロジェクト設定の「フィールド」の設定オプションで指定されているフィールドになります。「なし」を指定した場合は、「優先フィールドの入れ替え」を選択して偶数フィールドを保持しない限り、Premiere Elements で奇数フィールドが保持されます。このオプションは、クリップ内の特定のフレームを保持するときに便利です。
ちらつき削除
2 つのフィールドをかすかにぼかすことで、水平方向の細い線がちらつくことを防止します。1 本の走査線のように細い線は、一方のフィールドだけに表示されることがあるため、ちらつきの原因になります。