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カラーのトラップ(Acrobat Pro)

  1. Acrobat ユーザーガイド
  2. Acrobat の概要
    1. デスクトップ、モバイル、web から Acrobat にアクセス
    2. 新しい Acrobat エクスペリエンスについて
    3. Acrobat の新機能
    4. ショートカットキー
    5. システム要件
  3. ワークスペース
    1. ワークスペースの基本
    2. PDF を開いて表示
      1. PDF を開く
      2. PDF ページのナビゲーション
      3. PDF の環境設定の表示
      4. PDF の表示の調整
      5. PDF のサムネールプレビューを有効にする
      6. PDF をブラウザーで表示
    3. オンラインアカウントで操作
      1. Box からファイルにアクセス
      2. Dropbox からファイルにアクセス
      3. OneDrive からファイルにアクセス
      4. SharePoint からファイルにアクセス
      5. Google ドライブからファイルにアクセス
    4. Acrobat および macOS
    5. Acrobat 通知
    6. PDF のグリッド、ガイド、ものさし
    7. PDF での日中韓言語、キリル文字および右から左に表記されるテキスト
  4. PDF の作成
    1. PDF 作成の概要
    2. Acrobat での PDF の作成
    3. PDFMaker による PDF の作成
    4. Adobe PDF プリンターの使用
    5. Web ページを PDF に変換
    6. Acrobat Distiller による PDF の作成
    7. Adobe PDF 変換設定
    8. PDF のフォント
  5. PDF の編集
    1. PDF のテキストの編集
    2. PDF の画像またはオブジェクトの編集
    3. PDF ページの回転、移動、削除およびページ番号の付け直し
    4. スキャンされた PDF の編集
    5. モバイルデバイスのカメラで撮影した文書内の写真の補正
    6. PDF の最適化
    7. PDF のプロパティとメタデータ
    8. PDF 内のリンクと添付ファイル
    9. PDF レイヤー
    10. PDF のサムネール画像としおり
    11. Web ページから変換された PDF
    12. プレゼンテーション用の PDF の設定
    13. PDF のアーティクル
    14. 地図情報 PDF
    15. PDF へのアクションおよびスクリプトの適用
    16. テキスト追加時にデフォルトのフォントを変更
    17. PDF からページを削除
  6. スキャンと OCR
    1. 文書をスキャンして PDF に変換
    2. 文書の写真を補正
    3. Acrobat を使用してスキャンする際のスキャナーの問題のトラブルシューティング
  7. フォーム
    1. PDF フォームの基本
    2. Acrobat で新規フォームを作成
    3. PDF フォームの作成と配布
    4. PDF フォームに入力
    5. PDF フォームフィールドのプロパティ
    6. PDF フォームの入力と署名
    7. PDF フォームでの操作ボタンの設定
    8. インタラクティブな PDF Web フォームの公開
    9. PDF フォームフィールドの基本
    10. PDF バーコードフォームフィールド
    11. PDF フォームデータの収集と管理
    12. フォームトラッカーについて
    13. PDF フォームヘルプ
    14. 電子メールまたは内部サーバーを使用して PDF フォームを受信者に送信する
  8. ファイルの結合
    1. 単一 PDF へのファイルの結合
    2. PDF ページの回転、移動、削除およびページ番号の付け直し
    3. PDF へのヘッダー、フッターおよび通し番号の追加
    4. PDF ページのトリミング
    5. PDF への透かしの追加
    6. PDF への背景の追加
    7. PDF ポートフォリオ内のコンポーネントファイルでの作業
    8. PDF ポートフォリオの公開と共有
    9. PDF ポートフォリオの概要
    10. PDF ポートフォリオの作成およびカスタマイズ
  9. 共有、レビュー、およびコメント
    1. オンラインでの PDF の共有とトラック
    2. 校正箇所の指示
    3. PDF レビューの準備
    4. PDF レビューの開始
    5. SharePoint または Office 365 サイトでの共有レビューのホスト
    6. PDF レビューへの参加
    7. PDF への注釈の追加
    8. PDF へのスタンプの追加
    9. 承認プロセス
    10. 注釈の管理 | 表示、返信、印刷
    11. 注釈の取り込みと書き出し
    12. PDF レビューのトラックと管理
  10. PDF の保存と書き出し
    1. PDF の保存
    2. PDF を Word に変換
    3. PDF を PPTX に変換
    4. PDF を XLSX または XML に変換
    5. PDF を JPG に変換
    6. PDF を PNG に変換
    7. 他のファイル形式への PDF の変換または書き出し
    8. PDF 書き出し時のファイル形式オプション
    9. PDF コンテンツの再使用
  11. セキュリティ
    1. PDF の拡張セキュリティ設定
    2. パスワードによる PDF の保護
    3. デジタル ID の管理
    4. 証明書による PDF の保護
    5. 保護された PDF を開く
    6. PDF 内の機密情報の削除
    7. PDF のセキュリティポリシーの設定
    8. PDF のセキュリティ方法の選択
    9. PDF を開くときのセキュリティ警告
    10. Adobe Experience Manager による PDF の保護
    11. PDF の保護ビュー機能
    12. Acrobat と PDF のセキュリティの概要
    13. セキュリティリスクとしての PDF の JavaScript
    14. セキュリティリスクとしての添付ファイル
    15. PDF のリンクの許可またはブロック
  12. 電子サイン
    1. PDF 文書への署名
    2. モバイルデバイスでキャプチャした署名をあらゆるデバイスで使用
    3. 電子サイン用に文書を送信
    4. Web フォームを作成
    5. 一括の電子サイン依頼
    6. オンラインで支払いを受け取る
    7. アカウントのブランディング
    8. 証明書の署名について
    9. 証明書ベースの署名
    10. デジタル署名の検証
    11. Adobe Approved Trust List
    12. 信頼済み証明書の管理
  13. 印刷中
    1. 基本の PDF 印刷処理
    2. 小冊子と PDF ポートフォリオの印刷
    3. PDF 印刷の詳細設定
    4. PDF に印刷
    5. PDF のカラー印刷(Acrobat Pro)
    6. カスタムサイズでの PDF の印刷
  14. アクセシビリティ、タグ、および折り返し
    1. アクセシビリティ対応の PDF の作成および検証
    2. PDF のアクセシビリティ機能
    3. PDF の読み上げ順序ツール
    4. 折り返しおよびアクセシビリティ機能を使用した PDF の読み上げ
    5. コンテンツパネルとタグパネルでの文書構造の編集
    6. アクセシブルな PDF の作成
    7. クラウドベースの自動タグ付け
  15. 検索とインデックスの作成
    1. PDF のインデックスの作成
    2. PDF ファイルの検索
  16. マルチメディアと 3D モデル
    1. PDF にオーディオ、ビデオおよびインタラクティブオブジェクトを追加
    2. PDF への 3D モデルの追加(Acrobat Pro)
    3. PDF での 3D モデルの表示
    4. 3D モデルのインタラクティブな操作方法
    5. PDF での 3D オブジェクトの測定
    6. PDF での 3D ビューの設定
    7. PDF 内の 3D コンテンツの有効化
    8. PDF へのマルチメディアの追加
    9. PDF での 3D デザインへの注釈の追加
    10. PDF でのビデオ、オーディオ、マルチメディアの再生
    11. ビデオへの注釈の追加
  17. 印刷工程ツール(Acrobat Pro)
    1. 印刷工程ツールの概要
    2. トンボとヘアライン
    3. 出力のプレビュー
    4. 透明の分割・統合
    5. カラー変換とインキの管理
    6. トラップ
  18. プリフライト(Acrobat Pro)
    1. PDF/X、PDF/A、PDF/E 準拠ファイル
    2. プリフライトプロファイル
    3. プリフライトの詳細な検査
    4. プリフライトレポート
    5. プリフライト結果、オブジェクトおよびリソースの表示
    6. PDF の出力インテント
    7. プリフライトツールでの問題のある領域の修正
    8. ドロップレットまたはプリフライトアクションによる文書の分析の自動化
    9. プリフライトツールを使用した文書の分析
    10. プリフライトツールでの追加のチェック
    11. プリフライトライブラリ
    12. プリフライト変数
  19. カラーマネジメント
    1. 一貫した色の保持
    2. カラー設定
    3. 文書のカラーマネジメント
    4. カラープロファイルでの作業
    5. カラーマネジメントの解説

はじめる前に

アドビは、より直感的で新しい製品エクスペリエンスの提供を開始します。表示された画面が製品インターフェイスと一致していない場合は、現在の機能のヘルプに切り替えてください。

インキトラップについて

オフセット印刷では、同じページに複数のインキを使用する場合、インキ同士が接するところで隙間ができないようにするために正確なアラインメントが重要になります。ただし、すべての用紙で完全なアラインメントを行うことは困難で、版ズレや意図しないインキ間の隙間が生じます。

インキの版ズレを補うために、トラッピングを利用することができます。トラッピングでは、あるオブジェクトを少し拡張し、別のカラーのオブジェクトと重ねます。デフォルトでは、カラーの混合を防ぐために、あるインキがその下にあるすべてのインキを色抜きします。トラッピングでは、インキのオーバープリントが必要であり、少なくとも部分的なオーバーラップが可能になりアラインメントが向上します。

トラップしない場合の版ズレ(左)とトラップした場合の版ズレ(右)
トラップしない場合の版ズレ(左)とトラップした場合の版ズレ(右)

トラッピングは通常、広がりを伴います。つまり、明るいオブジェクトは暗いオブジェクトのほうへ広げられます。この方法により、オブジェクトやテキストの表示されるエッジは、暗いほうのカラーで確実に定義されます。明るいほうのカラーを暗いほうのカラーへわずかに拡張することで、視覚的なエッジはそのまま残ります。

Adobe In-RIP トラッピング

Acrobat では、Adobe In-RIP トラップエンジンを使用して、カラー文書に自動トラップを提供します。Adobe In-RIP トラップエンジンは、これをサポートしている Adobe PostScript 出力デバイスで使用できます。

In-RIP トラップエンジンは、文書全体で文字とグラフィックのエッジを正確に計算し、調整を適用します。複数の背景色に重なっていても、オブジェクトの様々な部分を効果的にトラップできます。トラッピング調整は自動的に実行され、特定のページ範囲に対してトラッププリセットを作成できます。トラッピング効果は、トラップエンジンによって生成された色分解でのみ表示され、プログラム内の画面上では表示されません。

トラップエンジンは、コントラストカラーのエッジを検出し、隣接するカラーの ND 値(明るさまたは暗さ)に基づいて、多くの場合、明るいほうのカラーを暗いほうのカラーに拡張してトラップを適用します。トラップエンジンの結果は、トラッププリセットパレットの設定で変更できます。

Adobe In-RIP トラッピングを使用するには、次のものが必要です。

  • オペレーティングシステムドライバーで適切な PPD ファイル(PostScript プリンター記述)が選択されている PostScript プリンター。
  • Adobe In-RIP トラッピングをサポートしている RIP を使用した Adobe PostScript レベル 2 以上の出力デバイス。PostScript 出力デバイスで Adobe In-RIP トラッピングがサポートされているかどうかを製造元または印刷・出力会社に問い合わせてください。

PDF のトラップ

トラッピングは、様々なカラー、インキ、印刷要素の影響を受ける複雑なプロセスです。適切な設定は、特定の印刷条件によって異なります。印刷・出力会社に相談せずにデフォルトのトラップ設定を変更しないことをお勧めします。

必要に応じて、文書のカスタム設定および印刷機の状態に合わせてトラッププリセットを作成するには、次の手順に従います。

  1. すべてのツールメニューから、印刷工程を使用トラッププリセットを選択します。

  2. トラッププリセットを作成し、ページ範囲に割り当てます。

  3. 次に、 を選択して印刷ダイアログボックスを開き、次の手順に従います。

    1. 詳細」を選択し、左側のリストから「出力」を選択します。
    2. 「色」では、「色分解(In-RIP)」を選択します。
    3. 「トラッピング」では、「Adobe In-RIP」を選択します。
      注意:このオプションは、Adobe In-RIP トラッピングをサポートしている出力デバイスでのみ動作します。
  4. 「出力」セクションで「インキ」を選択します。
    印刷・出力会社から推奨されている場合は、特定のインキについて次のオプションを調整できます。

    • 種類:選択したインキに一致するインキの種類を選択します。
    • ND 値:必要に応じて、デフォルトと異なる値を入力します。
    • トラッピングの順序:値を入力してインキが印刷される順序を設定します。
  5. 他の印刷オプションを指定し、「OK」を選択して文書を印刷します。
    注意:トラッピング設定が正確であれば印刷結果が向上するので、変更を行う前に必ず印刷・出力会社に確認してください。

トラッププリセットを使用した設定

トラッププリセットは、PDF のページに適用できるトラッピング設定のセットです。トラッププリセットダイアログボックスを使用してトラッピング設定を入力し、トラッププリセットとして保存します。トラップされるページ範囲にトラッププリセットを適用しない場合、そのページ範囲には [デフォルト] のトラッププリセットが適用されます。[デフォルト] のトラッププリセットは、新しい文書の全ページに適用される一般的なトラッピング設定です。

注意:

Acrobat では、トラッププリセットとその割り当ては文書が開いている間のみ適用されます。つまり、トラッププリセットは PDF には保存されません。この動作は InDesign とは異なります。InDesign では、トラッププリセットとその割り当ては InDesign 文書に保存されます。

トラッププリセットの作成または修正

  1. すべてのツールメニューから、印刷工程を使用トラッププリセットを選択します。

  2. 既存のプリセットを選択し、「作成」を選択します。

  3. 新しいトラッププリセットダイアログで、次の詳細を指定して「OK」を選択します。

    • 名前プリセットの名前を入力します。2 つの組み込みプリセット([トラッププリセットなし] および [デフォルト])の名前は変更できません。
    • トラップの幅:インキの重なり量を指定する値を入力します。
    • トラップの外観トラップの結合スタイルと終了スタイルを制御するオプションを指定します。
    • 画像画像をトラップする方法を指定します。
    • トラップのしきい値トラッピングの発生条件を指定する値を入力します。ここで入力する値は、様々な要因を考慮して決定する必要があります。詳しくは、印刷・出力会社に問い合わせてください。また、トラッピングに関する他のトピックを参照してください。
  4. トラッププリセットを削除するには、トラッププリセットダイアログボックスからプリセットを選択し、「削除」を選択します。

    注意:2 つの組み込みプリセット([トラッププリセットなし] および [デフォルト])は削除できません。

ページへのトラッププリセットの割り当て

トラッププリセットは、ドキュメントまたはページ範囲に割り当てることができます。隣接するカラーがないページは、それらのページへのトラッピングを無効にすれば、より速く印刷されます。トラッピングは、ドキュメントが印刷されるまで実行されません。

トラッププリセットを割り当てダイアログボックス
トラップの割り当て一覧にはプリセットを適用したページが表示され、「割り当て」ボタンをクリックすると情報が更新されます。

  1. トラッププリセットダイアログボックスで、「割り当て」を選択します。

  2. トラッププリセットの割り当てダイアログで、適用するトラッププリセットを選択します。

  3. トラッププリセットを適用するページを選択します。
  4. 割り当て」を選択します。

    注意:

    「割り当て」をクリックしないで「OK」をクリックすると、トラップの割り当てを変更せずにダイアログボックスが閉じてしまいます。それまでに「割り当て」ボタンで設定したトラップの割り当ては保存されます。

  5. トラッププリセットの割り当てが完了したら、「OK」を選択します。

ページに適用されたトラップの無効化

  1. トラッププリセットダイアログボックスで、「割り当て」を選択します。

  2. トラッピングを無効化するページを選択し、トラッププリセットメニューから、[トラッププリセットなし] を選択します。

  3. 割り当て」を選択し、「OK」を選択します。

トラッププリセットのオプション

トラッププリセットを作成したり、編集したりするときはいつでも、トラッププリセットオプションを変更できます。トラッププリセットオプションは Acrobat と InDesign で同じ設定を使用できます。

Acrobat でトラッププリセットを表示するには、すべてのツールメニュー/印刷工程を使用トラッププリセットに移動します。

InDesign では、ウィンドウ出力トラッププリセットを選択します。

トラップの幅

トラップの幅は各トラップの重なり量を表し、用紙の特性、スクリーン線数、印刷機の状態によって異なります。ジョブに合った適切なトラップの幅を決定するには、印刷・出力会社が役立ちます。

デフォルト設定は次のとおりです。

  • デフォルト:黒ベタを除くすべてのカラーに対し、トラップ幅をポイント単位で指定します。デフォルトでは 0p0.25 に設定されています。
  • :インキが黒ベタに広がっていく距離またはリッチブラックをトラップするブラックのエッジとその下にあるインキの距離であるホールドバック量を示します。デフォルト値は 0p0.5 です。多くの場合、この値はデフォルトのトラップ幅の 1.5~2 倍に設定されています。

InDesign では、「黒」に設定した値によって黒ベタまたはリッチブラックのトラップ幅が決まります。リッチブラックは、プロセスカラーの黒(K)にカラーインキを組み合わせて、不透明度を上げてさらに濃くしたものです。

適切なトラップ幅を使用して最適な印刷結果を得るには、印刷・出力会社に問い合わせてください。

注意:

(InDesign)組み込みトラップを選択した場合、デフォルトのトラップ幅または 4 ポイント以上の対ブラックを指定すると、トラップ幅は 4 ポイントに設定されます。ただし、指定した値は継続して表示されます。これは、Adobe In-RIP トラップに切り替えると、指定したとおり 4 ポイント以上のトラップが適用されるためです。

トラップの外観

トラップでは、結合とは 2 つのトラップエッジが交差する共通の端点を指します。2 つのトラップ線分が結合する外側の形状と、3 つのトラップが交差する部分を制御することができます。

  • 結合スタイル:このオプションを使用すると、2 つのトラップ線分が結合する外側の形状を選択できます。マイター、ラウンド、ベベルの 3 つの選択肢があります。デフォルトは「マイター」で、Adobe トラップエンジンの以前のバージョンとの互換性を維持します。
トラップの結合例
トラップの結合例、左から右に:マイター結合、ラウンド結合、ベベル結合

  • 終了スタイル:3 方向トラップが交差する部分では、「マイター」(デフォルト)と「重なり」から選択できます。「マイター」は、オブジェクトが交差しないように、トラップの端を成形します。「重なり」は、複数の暗いオブジェクトと交差する、最も明るい ND 値のオブジェクトによって作成されたトラップの形状に作用します。最も明るいトラップの端は、3 つのオブジェクトが交差するポイントに回り込みます。

これらの設定を試して、目的のトラップ結果を得ることができます。詳細について、またはサポートが必要な場合は、印刷・出力会社にお問い合わせください。

トラップの端の拡大例
トラップの端の拡大例:マイター(左)および重なり(右)

トラップのしきい値

手順

  • 色差:この設定は、トラップをトリガーするカラーの変化のしきい値を決定します。ジョブによっては、微妙なカラーの変化に対してトラップが必要な場合もあれば、より極端な変化に対してトラップが必要な場合もあります。「色差」値は、隣接するカラーの成分(CMYK 値など)の変化量を示し、この値を超えるとトラップが発生します。これを調整するには、新しいトラッププリセットダイアログボックスまたはトラッププリセットオプションを変更ダイアログボックスの「色差」値を変更します。デフォルトは 10%で、推奨範囲は 8~20%です。値が低ければ低いほど、色差への感度が高くなり、より多くのトラップが作成されます。
  • :これを下回るとトラップ幅の「黒」の設定が適用される黒インキの最小量を指定します。デフォルト値は 100%です。最適な結果を得るには 70%以上の値を使用することをお勧めします。
  • 黒の密度:これ以上になるとインキが黒とみなされる ND 値を示します。これを使用して、「黒」のトラップ幅に暗い特色インキを設定します。通常のデフォルトは 1.6 です。
  • スライドトラップ:これは、トラップエンジンがカラー境界の中心線をまたいでトラップを行う値を指定します。この値は、明るいほうのカラーの ND 値と暗いほうのカラーの ND 値の比率です。例えば、「スライドトラップ」値を 70%に設定すると、明るいほうのカラーの ND 値が暗いほうのカラーの ND 値の 70%を超えたときにトラップが開始されます。両方のカラーの ND 値が同一であれば、「スライドトラップ」を 100%に設定していない限り、必ず中心線をまたぐトラップになります。
  • トラップ減色:これは、隣接するカラー成分がトラップカラーの減色にどのように寄与するかを制御します。これにより、特定の隣接するカラー(例:パステルカラー)で、どちらのカラーよりも暗い見苦しいトラップが作成されることがなくなります。「トラップ減色」を 100%未満に設定すると、トラップカラーは明るくなり、0%に設定すると、暗いほうのカラーの ND 値と同じ ND 値のトラップが作成されます。

読み込まれたグラフィックのトラップ

トラッププリセットを作成すると、画像内や、ビットマップ画像(写真やラスター PDF など)とベクトルオブジェクト(描画やベクトル PDF など)間のトラップを制御できます。読み込まれたグラフィックの扱いはトラップエンジンによって異なります。そのため、トラップオプションを設定するときは、これらの違いを理解しておくことが重要です。

トラップの配置

  • 中央:オブジェクトと画像間のエッジをまたぐトラップを作成し、視覚的に一貫性のあるエッジをもたらします。
  • チョーク:オブジェクトが隣接する画像に重なるようにします。
  • ND 値:文書全体で使用されている標準のトラップルールを適用します。オブジェクトを ND 値を持つ写真にトラップすると、エッジが不均等になる場合があるので注意してください。
  • スプレッド:ビットマップ画像を隣接するオブジェクトに重ねます。

オブジェクトを画像にトラップ

  • 選択した「トラップの配置」設定を使用して、ベクトルオブジェクト(主線など)が画像にトラップできるようにします。ベクトルオブジェクトが画像と重ならないページではオフにして、トラップの速度を速くすることを検討してください。

画像を画像にトラップ

  • ビットマップ画像が重なっているか、隣接している場合、ビットマップ画像の境界線に沿ったトラップを有効にします。この機能はデフォルトで設定されます。

画像を内部でトラップ

  • ベクトルオブジェクトやテキストに接触する部分に限らず、個々のビットマップ画像内でカラーをトラップします。単純でハイコントラストの画像(スクリーンショットや漫画など)にのみ使用します。連続階調の画像や複雑な画像の場合は、選択しないでおくと、トラップの精度の低下を防ぎ、トラップ処理が速くなります。

1 ビット画像をトラップ

  • 隣接するオブジェクトに 1 ビット画像をトラップします。1 ビット画像には 1 つのカラーしかないため、「画像トラップ配置」設定は使用されません。ほとんどの場合、選択したままにします。ただし、1 ビット画像でピクセルの間隔が広い場合は、このオプションを選択すると画像が暗くなり、トラップの速度が低下することがあります。

黒のトラップ

プリセットを作成または編集する場合、「黒」の値によって、黒ベタおよびリッチブラックと見なされるものが決まります。リッチブラックとは、黒を強めるように割合を高めたプロセスインキ(サポートスクリーン)を使用した黒のカラーです。

この設定は、過度のドットゲイン(低品質な用紙に共通)を補正する場合に便利です。このような場合、100%より割合の低い黒が黒ベタ領域として印刷されることがあります。この問題に対処するには、黒ベタ(スクリーンバックの黒またはリッチブラック)の濃淡を使用して、「黒」設定をデフォルトの 100%から減らします。この調整により、ドットゲインが補正され、トラップエンジンにより適切なトラップ幅と配置がブラックオブジェクトに適用されます。

カラーが「黒」の値に達すると、「黒のトラップ幅」が隣接するすべてのカラーに適用されますが、リッチブラック領域では、「黒のトラップ幅」がキープアウェイトラップとして使用されます。

サポートスクリーンが黒い領域のエッジに広がると、版ズレによって不要なハローが発生したり、エッジが歪んだりすることがあります。これを回避するために、トラップエンジンはリッチブラックに対してキープアウェイ(ホールドバック)を使用します。キープアウェイは、反転させた要素または明るい前景の要素のエッジから指定された距離だけサポートスクリーンを離し、シャープネスを維持します。この距離は、「ブラックトラップ幅」値を設定することで制御します。

注意:

トラップするオブジェクトがグラフィックを囲む黒の主線などの細いオブジェクトの場合、トラップエンジンは「トラップの幅」の「黒」の設定を上書きし、トラップ量を細いオブジェクトの幅の半分に制限します。

インキの ND 値の調整

選択したトラップエンジンが使用するインキの ND 値を調整することで、トラップの正確な配置を設定できます。プロセスインキのデフォルトの ND 値は、海外の工業規格に対応するプロセスインキスウォッチの ND 値に基づいています。準拠する規格は言語バージョンによって異なります。例えば、米国英語およびカナダ版の ND 値は、米国の GATF(Graphic Arts Technical Foundation of North America)発行の『Specifications for Web Offset Publications』(SWOP)のベタインキ濃度値に一致しています。プロセスインキの ND 値は他の海外の印刷工業規格に合うように調整できます。

トラップエンジンは、特色の ND 値を同等の CMYK カラーから取得します。ほとんどの特色では、同等の CMYK カラーの ND 値から正確なトラップを作成することができます。ただし、プロセスインキを使用しても容易に表現できない特色インキについては、トラップエンジンが正しくトラップできるように ND 値を調整する必要があります。新しい値を入力すると、著しく暗いインキまたは明るいインキがトラップエンジンでも同じように認識され、適切なトラップ配置が自動的に適用されます。

実際に印刷に使用する商用印刷機を調べれば、インキに適切な ND 値がわかります。インキの ND 値を求める最も正確な方法は、スウォッチのインキカラーを測定する商用濃度計を使用することです。「V」すなわちインキの視覚的濃度を読み取ります(プロセスフィルターは使用しないでください)。この値がデフォルト設定と異なる場合は、新しい値を「ND 値」テキストボックスに入力します。

注意:

特色の ND 値を変更しても、カラーのトラップの方法が変更されるだけで、ドキュメントでのそのカラーの外観は変更されません。

ND 値を調整する場合は、次のガイドラインに従います。

  • メタリックインキとオペークインキ:
    • 通常、メタリックインキは CMYK カラーよりも暗く、オペークインキはその下の色を不鮮明にします。
    • メタリックスポットカラーとオペークスポットカラーの両方に対して、ND 値をデフォルトよりもはるかに高く設定して広がらないようにします。
  • パステルインキ:
    • パステルインキはプロセスカラーのものよりも明るくなります。
    • 隣接する暗いほうのカラーに広がるようにするため、ND 値をデフォルトより低く設定します。
  • その他のスポットインキ:
    • ターコイズやネオンオレンジなどの一部の特色には、CMYK カラーよりもかなり暗かったり、明るかったりするカラーがあります。
    • 実際の特色インキの印刷されたスウォッチを CMYK カラーと比較して、その違いを判断します。
    • 必要に応じて、特色インキの ND 値を高くまたは低く調整します。
注意:

インキダイアログボックスの「種類」で「オペーク」または「オペークを無視」に設定すると、別のオペークインキの ND 値をより高く設定していない限り、オペークインキが他のカラーへ広がっていくことはありません。

特殊インキのトラップのカスタマイズ

特定のインキを使用する場合は、トラップに特別な考慮事項があります。例えば、ワニスを使用する場合、トラップに影響を与えないようにすることができます。一方、完全に不透明なインキで特定の領域にオーバープリントする場合は、その下にあるアイテムをトラップする必要はありません。このような状況に対応するために、インキオプションを使用できます。一般に、印刷・出力会社から変更が指示されない限り、デフォルト設定を使用することをお勧めします。

次の手順に従います。

  1. すべてのツールメニューから、印刷工程を使用インキを選択します。
  2. 特殊な処理が必要なインキを選択します。
  3. 「種類」には、次のオプションから選択します。
    • 標準:従来のプロセスインキや標準的な特色インキに使用します。
    • 透明:その下にあるアイテムがトラップするようにするクリアインキに最適です。ワニスやダイラインインキに適しています。
    • 不透明:濃い不透明なインキに使用します。その下の色のトラップを防止しますが、インキのエッジに沿ったトラップを可能にします。メタリックインキに適しています。
    • 不透明を無視:その下にある色をトラップしたり、インキのエッジに沿ってトラップしたりする必要がない濃い不透明なインキに最適です。他のインキと好ましくない相互作用を起こすことのあるメタリックやワニスなどのインキに使用します。
注意:

ドキュメントで使用される特殊インキとワニスは、2 つの特色を混合したり、1 つの特色と 1 つまたは複数のプロセスインキを混合したりして作成されている可能性があります。

トラップの順序の調整

トラッピングの順序はトラップ順序とも呼ばれ、インキが印刷機で印刷される順序を反映しますが、出力デバイスで色分解が作成される方法は反映しません。

メタリックインキのような不透明な色を複数使用して印刷する場合は、トラッピングの順序が重要になります。順番番号の小さなオペークインキは順番番号の大きなオペークインキの下に広がります。これによって、最後に適用されたインキが広がらなくなりますが、効果的なトラップを作成できます。

トラッピングの順序を調整するには:

  1. すべてのツールメニューから、印刷工程を使用インキを選択します。
  2. インキリストの「シーケンス」列に現在のトラッピングの順序が表示されます。
  3. インキを選択し、「トラッピングの順序」に新しい値を入力してから、Tab キーを押します。その順番番号が変更され、その他の番号はそれに応じて調整されます。
  4. 必要なインキの数だけ繰り返して、「OK」を選択します。
注意:

担当の印刷・出力会社に問い合わせる前に、デフォルトのトラッピングの順序を変更しないようにしてください。

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