アクセシビリティに対応した PDF の作成

コンテンツは、できるだけ幅広いユーザー層が不自由なく利用でき、WCAG 2.0 や米国リハビリテーション法第 508 項などのアクセシビリティに関する基準や規制に準拠していることが重要です。「アクセシビリティに対応した」電子ドキュメントとは、スクリーンリーダーや障がいを持つ人が利用する他の支援デバイス向けに最適化されたドキュメントを意味します。アクセシビリティに対応したコンテンツの作成は、インターネット検索エンジンによるインデックス処理が成功するように PDF ドキュメントを最適化する点でも重要な役割を果たします。

このようなアクセシビリティを実現するには、階層構造（見出し、段落、リスト、テーブルなど）に基づいてドキュメントのすべてのコンテンツをタグ付けし、コンテンツを開始から終了までの線形パスに並べる必要があります。アクセシビリティに対応したドキュメントには、グラフィックや画像などのテキスト以外のコンテンツをコンテキスト内で識別し、表示内容を説明するという他の要件もあります。

InDesign には、InDesign レイアウトからアクセシビリティに対応した PDF ドキュメントを作成するために必要な時間と手間が大幅に削減される直接的でシンプルなワークフローが用意されています。ほとんどのタスクは InDesign 内で実行されます。最後のいくつかの手順のみ Adobe Acrobat で行う必要があります。これにより、階層的および構造的情報を InDesign ファイルに保存できるため、アクセシビリティに対応した PDF ドキュメントの改訂版を生成する必要がある場合に、更新をよりすばやく簡単に行うことができます。

アクセシビリティに対応した PDF を作成するために必要なものは次のとおりです。

• InDesign：この記事で説明されているプロセスを使用して、アクセシビリティに対応した PDF 書き出し用のドキュメントを準備するために使用します。
• Acrobat ：アクセシビリティプロセスを仕上げるために使用します。これらの手順は、無料の Adobe Reader アプリケーションでは実行できません。

アクセシビリティに対応した PDF の作成のワークフロー

アクセシビリティ対応のドキュメントを適切に構築して準備するための作業は、その大部分が InDesign で直接行うことができます。これにより、書き出し後に Acrobat で必要となる作業が大幅に減少します。InDesign ドキュメントでは、ドキュメントの構造的な階層とコンテンツの順序を指定することができます。これにより、後でドキュメントを修正して新しい PDF を書き出すために必要な構造が維持されます。

InDesign で必要な手順

ドキュメント全体で InDesign の段落スタイルを一貫して使用することは、コンテンツを効果的かつ適切に PDF に書き出すために非常に重要です。階層構造（主見出し、第 2 見出し、小見出しなど）に基づいてスタイルを作成し、ドキュメント内の階層的な役割に従って適切に適用します。

InDesign スタイルを作成するとき、PDF ドキュメントでの役割、つまり段落（P）、見出しレベル 1〜6（H1〜H6）、またはページ装飾のどれかに応じて各スタイルの「タグを書き出し」（段落スタイルオプションダイアログ内）を設定します。表、箇条書きリスト、自動番号リストは、書き出しプロセスで自動的に認識され、適切にタグ付けされます。

プリントレイアウト内の画像は、スプレッドの任意の位置に表示することができます。また、目の見えるユーザーは、読むときに画像とそれに関連するテキストを結び付けることができます。スクリーンリーダーは、コンテンツを直線的に処理します。スクリーンリーダーは、画像を説明するために読み上げ機能を使用するので、画像に関係するテキストの可能な限り近くに配置する必要があります。InDesign では、ドラッグ＆ドロップによりオブジェクトを固定できるため、プリントレイアウトに影響を与えることなく、画像への参照を適切な位置に簡単に配置できます。

スクリーンリーダーは、画像の存在のみを示すことができます。画像の内容を伝えるには代替テキストを指定する必要があります。InDesign の「オブジェクト書き出しオプション」を使用して、画像ファイルでメタデータから代替テキストを指定したり、レイアウト内のイメージ、グラフィック、またはオブジェクトグループにカスタム代替テキストを追加したりすることができます。

アクセシビリティに対応した PDF では、目次、しおり、ハイパーリンク、相互参照が、参照先コンテンツに対するナビゲーションメカニズムとして機能します。さらに、スクリーンリーダーユーザーは、これらのメカニズムによって作成されるリンクを使用してドキュメントを効果的に移動することもできます。

PDF ドキュメントのタグ付け順序は、読みやすくするために重要です。InDesign のアーティクルパネルを使用すると、ドキュメント内のどのコンテンツをどの順序でタグ付けするかを正確に定義できます。コンテンツを追加するには、フレームとオブジェクトをアーティクルパネルにドラッグ＆ドロップして、目的の読み取り順序で配置します。さらに、ページレイアウトに影響を与えることなく、コンテンツを小さいアーティクルに分割することもできます。

アクセシビリティだけでなく検索エンジンの最適化のためにも、PDF ファイルにはドキュメントタイトルと内容の説明が必要です。この情報を InDesign ファイル情報ダイアログで保存すると、必要なメタデータとして Acrobat に自動的に転送されます。

InDesign PDF 書き出しオプション（「プリント」または「インタラクティブ」）を使用すると、レイアウトで確立されているタグ付け、編成、およびブックマークは、作成される PDF ドキュメントのタグ付け構造、順序、ナビゲーションスキームになります。

Acrobat で必要な手順

InDesign でドキュメントの言語を設定することはできません。言語は、Acrobat ドキュメントのプロパティダイアログの詳細設定で指定する必要があります。

初期設定では、ドキュメントウィンドウのタイトルバーに PDF ファイル名が表示されます。アクセシビリティのためには、InDesign のファイル情報ダイアログで設定されたドキュメントタイトルに置き換えてください。これを行うには、Acrobat ドキュメントのプロパティダイアログの初期表示オプションで、ファイル名の代わりにドキュメントタイトルを選択します。

InDesign のアーティクルパネルで設定された構造は、書き出した PDF ファイルに保存されますが、その構造を使用するよう Acrobat で指定する必要があります。InDesign ドキュメントの構造で指定された順序を使用するには、Acrobat のページサムネールパネルですべてのページを選択し、オプションメニューから「ページプロパティ」を選択してから、タブ順として「ドキュメント構造を使用」を選択します。

これらの手順が完了したら、Acrobat アクセシビリティツールから「フルチェック」を選択し、選択してドキュメントにエラーがないことを確認します。

アクセシビリティに対応した PDF の作成

段落スタイルへの「タグを書き出し」手順の追加

段落スタイルで書き出しタグを定義すると、そのスタイルを使用しているテキストと、PDF ドキュメントの意味構造におけるその役割の間に関連性が作成されます。どの段落スタイルでも、8 つの基本的な PDF タグのいずれかに設定することができます。

書き出しタグを割り当てない場合、すべてのスタイルが「自動」に設定されます。「自動」設定では、以前の XML ベースのワークフローで設定されたスタイル／XML のタグ付けがすべて適用されます。スタイル／XML の関係が設定されていない場合、「自動」設定を選択すると Acrobat で P タグに変換されます。見出し構造を決定するために、ドキュメントの解析が追加されることはありません。初期設定ではこのように動作するため、アクセシビリティの手順として段落スタイルに書き出しタグを明示的に割り当てることは必須です。

スタイルの「タグを書き出し」オプションは、段落スタイルオプションダイアログの「タグを書き出し」領域で設定します。InDesign の箇条書きおよび自動番号機能を使用する場合、箇条書きリストおよび自動番号リストは、それぞれ番号なしリストまたは番号付きリストとしてタグ付けされ、書き出しプロセスで選択されたオプションに応じて自動的に変換されます。手動で作成されたリストは、リストアイテムとして認識されません。

InDesign の「タグを書き出し」設定では、2 種類のタグ付けスキームを使用できます。EPUB および HTML のオプションは、PDF のオプションと関係がありません。個別に設定する必要があります。特定の段落に割り当てられる役割はどちらもかなり似ていますが、PDF の方がオプションは少なく、カスタムタグ付けオプションがありません。

プロジェクトに既にスタイルがある場合、段落スタイルパネルメニューで「すべての書き出しタグを編集」選択することで、ドキュメント内のすべてのスタイルを 1 ステップでマップできます。表示されたダイアログボックスで、「PDF」オプションを選択し、右側の列のプルダウンメニューから左側の列の段落スタイル名に PDF タグを割り当てます。

Acrobat では、役割マップには、InDesign のヘッダースタイルと H1 タグの間の関係およびセクションヘッダースタイルと H2 タグの間の関係が反映されます。どちらも、InDesign でそれぞれのスタイルの「タグを書き出し」オプションを使用して割り当てられています。

オブジェクト書き出しオプションを使用した代替テキストの追加

アクセシビリティに対応した PDF ドキュメント内の画像には、スクリーンリーダーまたは支援デバイスが画像を説明できるようにするため、代替テキストが必要です。画像の代替テキストは、XML 構造ウィンドウまたはオブジェクト書き出しオプション（オブジェクト／オブジェクト書き出しオプション）を使用して追加することができます。このダイアログボックスはモーダルではないため、ドキュメントで作業している間も開いたままにできます。これにより、ダイアログを繰り返し閉じたり開いたりしなくても、画像間をすばやく移動してメタデータを割り当てることができます。

オブジェクト書き出しオプションダイアログには、「代替テキスト」、「タグ付き PDF」、「EPUB および HTML」の 3 つのタブがあります。代替テキストは、PDF および EPUB/HTML ワークフローの両方に適用されます。ドキュメントの XML 構造（存在する場合）または画像の XMP メタデータ（存在する場合）から代替テキストを生成できます。または、代替テキストソースプルダウンメニューから「カスタム」を選択して、レイアウト内の画像の特定のインスタンスに代替テキストを直接追加することもできます。

画像の XMP メタデータは、InDesign で代替テキストとして使用できる可能性があります。ファイル内の代替テキストとメタデータ間のリンクは動的なので、ほとんどの場合、XMP メタデータから代替テキストを指定することをおすすめします。メタデータが変更された場合、InDesign ドキュメントの画像のリンクを更新すると代替テキストが更新されます。すべての画像に代替タグを追加しないと、Acrobat のアクセシビリティチェックを実行したときに以降のワークフローでエラーが発生します。

最終的な PDF ドキュメントでは、ユーザーが画像の上にマウスポインターを置くと代替テキストがツールヒントとして表示されます。さらに、代替テキストは、Acrobat の読み上げ機能を使用したときや、支援デバイスや画像読み上げソフトウェアによって PDF が読み上げられた場合に、画像の説明として読み上げられます。

テキストフローへの画像の固定

ページレイアウトで画像をページ上に配置するとき、必ずしも画像に言及している文章付近に配置する必要はありません。目の見えるユーザーにとって、画像に言及するテキストがドキュメント内の他の場所に配置されているのはよくあることです。しかし、アクセシビリティに対応した PDF ドキュメントでコンテンツの流れを設定する場合、これらの画像が適切な流れで説明される必要があります。InDesign では、画像を含むグラフィックフレームをテキストフレーム内の適切な位置に固定することで、テキスト内の画像への機械読み取り可能な参照を配置できます。

各 InDesign フレームおよびオブジェクトグループでは、上辺に小さい青の四角形が表示されます。オブジェクトの元の位置を変更せずにテキストフロー内のアクセシビリティ位置にオブジェクトを固定するには、青い四角形をクリックしたまま、テキスト内の目的の位置にドラッグしてマウスボタンを放します。青の四角形がアンカーアイコンに変わり、オブジェクトが固定されていることが示されます。

PDF ファイルでは、固定された画像の Figure タグが、メインアーティクルの該当する <body_copy> タグ内に表示され、そのポイントにある代替テキストによって参照および説明されます。

アーティクルパネルでの読み上げ順序の設定

InDesign のアーティクルパネルでは、XML 構造ウィンドウを使用しなくても、InDesign 内で Acrobat 全体に対してドキュメントのコンテンツ読み上げ順序を設定することができます。Acrobat は、この順序を理解します。Acrobat でその順序に従うよう指示すると、Acrobat は書き出された PDF でその順序に従います。

InDesign で読み上げ順序を設定するには、アーティクルパネル（ウィンドウ／アーティクル）を開き、ページ上の目的のオブジェクトをクリックしてアーティクルに追加します。オブジェクトをアーティクルパネルにドラッグし、マウスボタンを放します。オブジェクトがクリックした順序で表示されます。ダイアログが表示されたらアーティクルに名前を付けるか、デフォルトの名前「アーティクル 1」を保持します。または、「すべてを選択」（Command/Ctrl+A キー）を使用してアーティクルパネルの下部にある「新規アーティクル」ボタンをクリックし、選択したすべてのオブジェクトを追加して新しいアーティクルを 1 ステップで作成することもできます（後から名前を変更できます）。オブジェクトには、オブジェクトの種類と内容に基づいて初期設定の名前が付けられます。既にレイヤーパネルでオブジェクトに特定の名前が付けられている場合、その名前がアーティクルパネルで保持されます。

InDesign のアーティクルパネルに新しいアーティクルを追加するときは、アーティクルが PDF ファイルで適切にタグ付けおよび順序付けされるように「書き出し時に含める」（デフォルト）を選択する必要があります。

アーティクルパネルのコンテンツを整理するには、すべてのアイテムが目的の順序になるまでアーティクル内でアイテムを上下にドラッグします。読み上げ順序は、上から下です。アーティクルパネルで順序を変更しても、InDesign ページ上のアイテムの位置や外観は影響を受けません。要素をアーティクルパネルにドラッグしたり、要素を選択してアーティクルパネルメニューから「選択したアーティクルに選択内容を追加」を選択することで、レイアウトの様々な部分の要素を既存のアーティクルに追加することもできます。コンテンツの構造を適切に分割するには、複数のアーティクルを作成します。

ナビゲーション用のブックマーク、相互参照、ハイパーリンクの追加

相互参照、ハイパーリンク、ブックマークは、目の見える読者にとって便利なだけでなく、目の不自由な方にとっても重要なナビゲーションツールとなります。このようなナビゲーションメカニズムは、障がいあるユーザーがドキュメント内を移動して、そのコンテンツの概要やコンテンツの構成を確認するために使用されます。InDesign で生成された目次（TOC）は、目次ダイアログで「PDF ブックマークを作成」オプションが選択されている場合に自動的にブックマークを追加することができます。ブックマークパネルで、動的な目次とは別個にカスタムブックマークを追加することもできます（ウィンドウ／インタラクティブ／ブックマーク）。ブックマークは、テキストアンカー（特定の参照先テキストを選択したときに作成されるブックマーク）またはページ（テキストを選択せずに InDesign でページを表示したときに作成されるブックマーク）にリンクすることができます。

InDesign のブックマークパネルでは、ブックマークを階層的に配置したり、ドキュメントの個々のセクションをより明確に示すために、より広範なカテゴリーブックマークの下に特定のブックマークをネストしたりすることができます。適切な設定で PDF に書き出すと、InDesign のブックマークとその組織構造は Acrobat のブックマークパネルと正確に一致し、適切なコンテンツへのクリック可能なリンクとして機能します。

（Web サイトなどの外部の場所やテキストアンカーなどのドキュメント内の場所への）ハイパーリンクは、よりマクロなレベルで追加のナビゲーションポイントを提供します。これは、ドキュメントのブックマーク構造では適切または必要でない可能性があります。PDF ハイパーリンクは、InDesign のハイパーリンクパネルで作成したリンクや、InDesign の相互参照機能を使用して設定された相互参照を書き出したときに作成されます。InDesign で作成された相互参照は、書き出した PDF ドキュメント内のハイパーリンクに自動的に変換されます。

インタラクティブフォーム要素の追加

InDesign のフォーム作成機能では、フォームフィールドやボタンなどの特定のインタラクティブ要素にタグ付けがサポートされています。書き出された InDesign フォームには、作成される PDF ドキュメントでアクセシビリティに対応するために必要な <Annot>（注釈）タグが含まれています。
InDesign は、チェックボックス、コンボボックスとリストボックス、ラジオボタン、テキストフィールド、署名フィールドの作成をサポートしています。これらはすべて、ボタンとフォームパネル（ウィンドウ／インタラクティブ／ボタンとフォーム）で作成されます。各フォーム要素には、名前値と説明値の両方が含まれています。この値は、定義の一部である必要があります。説明は、フォームアイテムのツールチップおよび代替テキストの両方として機能するため、アクセシビリティにとって不可欠です。フォームには、ページに表示されるラベル（名前、会社、電話番号など）を付けることもできますが、ユーザーがフィールド間またはボックス間でタブ移動すると、フォーム要素に割り当てられた情報のみが読み上げられます。隣接するテキストは読み上げられません。

書き出し前に様々なフォーム要素（「送信」ボタンを含む）のタブ順が正しく確立されていることを確認することが重要です。こうすれば、ユーザーがフォールフィールド間やオプション間をタブ移動した（または支援デバイスによってガイドされた）とき、適切な順序で各ステップに進むことができます。フォームが設計され、その機能がボタンとフォームパネルで定義されたら、タブ順ダイアログ（オブジェクト／インタラクティブ／タブ順を設定）で、すべてのフォーム要素が適切な順序で表示されることを確認します。「上に移動」または「下に移動」ボタンを使用して、必要な調整や修正を行います。または、フォーム要素をアーティクルパネルに適切なタブ順序で追加することもできますが、その場合もタブ順ダイアログボックスに表示される順序を念のため確認すると、優れた品質コントロールに役立ちます。タブ順ダイアログボックスには、ユーザーが Tab キーまたは支援デバイスのいずれかを使用した場合にユーザーが上から下に移動する順序が表示されます。

InDesign ドキュメントへのファイルメタデータの追加

アクセシビリティに対応した PDF ドキュメントには、少なくとも、ドキュメントタイトルと内容の簡単な説明が必要です。この情報は、ファイルのメタデータに保存され、Acrobat のドキュメントプロパティダイアログからアクセスできます。メタデータは、InDesign ドキュメントのファイル情報ダイアログ（ファイル／ファイル情報）から取得でき（また、そうすべきです）、新しい PDF ドキュメントが作成されるたびに簡単に変更および更新して、保存できます。

アクセシビリティ用の書き出し

InDesign でドキュメントのアクセシビリティを準備したら、Adobe PDF（インタラクティブ）または Adobe PDF（プリント）形式オプションを使用して PDF に書き出すことができます（ファイル／書き出し）。どの PDF タイプを選択するかは、フォーム、ボタン、オーディオ、ビデオなどのインタラクティブ要素がドキュメントに含まれているかどうかによって異なります。どちらの PDF タイプも形式は同じですが、ダイアログボックスごとにオプションが異なります。Adobe PDF（プリント）形式では、ブックマークとハイパーリンクが書き出されますが、ボタン、オーディオ、ビデオ、またはアニメーションは書き出されません。このようなインタラクティブ要素の外観のみ（機能ではなく）を含めるよう選択することも、まったく含めないよう選択することもできます。

アクセシビリティに対応するため、書き出された PDF にはタグが付けられます。そのため、どちらの PDF タイプの場合も、必ず書き出しダイアログボックスで「タグ付き PDF を作成」オプションを選択してください。後でそのステップを Acrobat で手動保存するには、インタラクティブ PDF ダイアログに書き出しダイアログで「タブ順の設定に構造を使用」オプションを選択します。ブックマーク、ハイパーリンク、相互参照、およびボタンをアクティブにするには、「フォームとメディア」オプションを「すべて含める」に設定します。ダイアログボックスのその他の設定はすべてオプションであり、ニーズや好みに応じて変更できます。書き出しが完了したすぐ後に PDF ドキュメントを自動的に開くには、「書き出し後に表示」オプションを選択します。その後、Acrobat で必要な最後のいくつかの手順に進むことができます。

Acrobat での書き出された PDF の確認

出版されるドキュメントと同様、必ず最終バージョンを見直し、予期しない結果が生じていないことを確認することをおすすめします。Acrobat のタグパネルでタグ付け構造を確認すると、InDesign での準備と最終的な PDF ドキュメント間の関係について理解を深めることができます。
Acrobat の順序パネルは、InDesign のアーティクルパネルで設定した順序と一致しない場合があり、支援技術や Acrobat 読み上げ機能で使用される読み上げ順序を必ずしも反映していません。InDesign のアーティクルパネルのコンテンツの配置によって決定されるタグパネルの順序のみが、PDF コンテンツの読み上げ順序を表します。順序パネルまたは Acrobat Reflow モードで表示される順序には関係ありません。

Acrobat でのドキュメント言語の割り当て

PDF ファイルを作成したら、Acrobat に移動して残りの手順を完了し、PDF ドキュメントをアクセシビリティ対応にすることができます。最初の手順として、ファイルのプロパティダイアログ（ファイル／プロパティ）の「詳細設定」タブでドキュメントの言語を設定します。InDesign には、対応する設定がないため、Acrobat で言語を設定する必要があります。ドキュメントウィンドウのタイトルバーにファイル名ではなくタイトルが表示されるようにドキュメントを設定することもおすすめします。この変更は、ドキュメントプロパティダイアログの「初期表示」オプションで行うことができます。

タブ順の指定

InDesign のアーティクルパネルで作成された構造は PDF ファイルに書き出されますが、ハイパーリンクやフォームフィールドのようなインタラクティブ要素をタブ移動するときに従う順序として自動的に設定されることはありません。Acrobat のページサムネールパネル（表示／表示／非表示／ナビゲーションパネル／ページサムネール）でタブ順を設定する必要があります。ドキュメントページサムネールをすべてハイライト表示し、ページサムネールパネルのオプションメニューから「ページプロパティ」を選択します。ページプロパティダイアログボックスの「タブ順」領域で、コンテンツの順序を「指定なし」から「ドキュメント構造を使用」に変更します。

ドキュメントをインタラクティブ PDF ファイルとして書き出し、「タブ順の設定に構造を使用」オプションを選択した場合、この手順を省略できます。InDesign の Adobe PDF を書き出しダイアログのプリントバージョンには、このオプションはありません。Acrobat で選択する必要があります。

Acrobat アクセシビリティチェックの実行

Acrobat ツールパネルで、「アクセシビリティ」オプションを展開します（ビュー／ツール／アクセシビリティ）。「アクセシビリティレポートの作成」オプションが選択されていることを確認してください。このオプションでは、ドキュメントにエラーがないかどうかと、エラーがある場合は問題の詳細が表示されます。